藤澤俊輔 「漫才コラム」と「漫才.コント.落語台本集」

漫才作家だけで食べていくために「オチを売るシステム」を模索中。「古典漫才」の普及を目指しフリー台本公開中。時々コントと落語


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少し長い休日

 

今まで一日も休まずに走り続けた君が

「少し休みたい」って言ったからって

ばかにしたりなんかしないよ

むしろ君はねぇ もっとゆっくり歩いたほうがいいよ

極端なことを言えばなにもしないで

ぼーっと空なんかみあげたらいいのに

でも君が休んでいる間にみんなが君を追い越してゆくだろう

「あいつはもうだめだ」なんていううわさが

どこからともなく聞こえてくる

君のことをわかろうともしない人たちの言葉なんて気にしなくていいよ

少し長い休日にどこかへ行くなら ぼくも連れてってくれないか

 

ほら あの雲の形 だれかの顔に似てるだろう?

こんなこと考えるのは思い出せるかぎりではこどもの頃以来だなぁ

おとなになってからはそんなくだらないこと

考えたりしなくなったろう?

でもさぁ 雲の形について考えること以上に

大切なことどれくらいあるのかな?

君が走り続けている間に大好きなあの人に

よく似た雲を見過ごしたんじぁないかな

まぁでも雲ってやつはみんな気まぐれにふわふわと浮かんでるだろう?

だからさがしてみたら意外とみつかるかもしれないよ

きっといつかかならず会えるよ

少し長い休日にみつけたらぼくに知らせてくれないか

 

でもきっと君が休んでいる間にみんなが君を疑いはじめるだろう

「昔はあんな人じぁなかったのに」なんて嘆く声が聞こえてくる

みんな不安なんだ 自分のことが

だから許してあげられるかな

むしろ君のほうがよっぽど強いみたいだ

少し長い休日を選ぶことができたろう?

もう何年かすればそれは「勇気」という名で呼ばれるようになるから

そのときまでぼくが君のそばにいよう

大したことできないってわかってるけど

それなりにぼくなりに君のためにできること考えてみるよ

少し長い休日にぼくのくだらない話でも聞いてくれないか

 

あぁそういえばみつけたんだ 大好きなあの人によく似た雲を

君に見せようと思ってさぁ 写真に撮っておいたんだ

ほらよく似てるだろう?

君の横顔に

 

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