もしもキングコングがハマカーンの名作漫才「やきそば」をカバーしたら
梶原:学園祭とかで漫才させていただくことあるんですけどね…
西野:はいはい,ありますねぇ
梶:学園祭の屋台で売ってる学生さんが作るやきそばってまずいじゃないですか?
西:お前いきなり何言うてんねん。そんなことないよ。あれはあれで結構美味しいですよ。学生さんが作ったやきそばでしょ?俺普通に買うし
梶:俺も昔はよく買うてたけど,遊び半分で作ってるやつがいてえらい目におうたことあるからね
西:たまにはそういう学生もいますよ。食べ物売るわけだから遊び半分で作るのはよくないけど,大半の学生は真剣にやってますから。決してまずくはないですよ
梶:美味くもないってことやろ?
西:いやそれは作る人にもよりますけど,美味いやきそばも結構あるって
梶:素人やから,髪の毛とか入ってることもたまにあるじゃないですか
西:それはたまにはありますよ。プロでもありますからね。でも決してまずくはない
梶:なんで今さら好感度上げようとしてんねん。こっちは金払って食べるわけやから,ちゃんとした美味しいもんを食べたいんですよ
西:「ちゃんとした美味しいもん」ってなんやねん
梶:例えば,高級レストランの一人25,000円のコース料理とかね
西:何と比べてんねん,学生さんが作った300円のやきそばを。学生さんのやきそばには学生さんのやきそばならではの美味しさがあんねんって
梶:だったらお前,「一人25,000円のコース料理」と「学生さんが作った300円のやきそば」,誰かが「おごってくれる」言うたらどっち選ぶ?
西:え?「おごってくれる」って?そんなん言われたらお前……25,000円のコース料理を…俺は選ばへんよ
梶:選ばない!? お前好感度上げんのに必死やな。ええからそういうの。正直に言うてみ?正直に。どっち選ぶ?
西:いやいやいや,好感度上げるために言うてるんやないって。俺は,学生さんが作った300円のやきそばと,24,700円の方を選びますよ
梶:なんて?
西:だから俺は,「学生さんが作った300円のやきそばと24,700円を選ぶ」って…
梶:その24,700円ってなんやねん
西:差額
梶:差額?「差額」ってなんの?
西:「どっち選ぶ」って聞くんやったら,フェアに比べないとおかしなことになるやん。300円のやきそばの方には差額の24,700円をつけな
梶:いやいやいや,お金つけた方がおかしなことになるやん
西:お金つけない方がおかしいって。不公平すぎるわ
梶:だったらお前,「一人25,000円のコース料理」と「石+24,700円」やったらどっち選ぶ?
西:石
梶:おかしなことになってるやん
西:何がやねん
梶:石選んでもうてるやん
西:石選んでもええやん
梶:ええけど,選んだからには石食わなあかんねんで
西:石なんて食えるか
梶:石を選ぶということは,「石を食べる」ということを選んでんねんで
西:ほんならお前,そこらへんに落ちてる石やったらタダなんやから,石+24,700円はおかしいやろ。石+25,000円やないとフェアじゃないって
梶:そんな細かいことはどうでもええねん。ほんなら,石+25,000円やったら石食うんやな
西:石は食われへんって
梶:なんやねん。結局お金ほしいだけやん
西:しゃあないやん。「どっちほしい」って聞かれて正直に答えてるだけや
梶:分かった。ほんなら,石食べたら25,000円やるわ
西:話変わってきてるやん。なんなんその「金持ちの遊び」みたいなん
梶:石を2個食べるだけで5万やぞ
西:石2個食べたらお前が5万くれんのか?
梶:あげますよ
西:ちなみに……,石のサイズは?
梶:サイズ!? サイズによってはいけるってこと?
西:いやいやいや,「いける」とは言うてない。念のため聞いてんねん。石のサイズ大事やから
梶:お前どんだけ5万ほしいねん
西:どちらにしても,ちゃんとフェアな状況で選ばせろって
梶:ほんなら,「一人25,000円のコース料理」と「学生さんが作った300円のやきそば25,000円分」
西:それは食えへんって
梶:まずいからやろ?
西:ちゃうわ。美味いやきそばでも無理やん。300円のやきそば25,000円分ってお前やきそば何パックになると思うてんねん。25,000÷300で?…だいたい80パックくらいやろ。量的に無理や
梶:ほんなら,それ全部食べたら25,000円
西:やめろやそれ。その「金持ちの遊び」
梶:じゃあ全部食べたら5万
西:5万?いやいや…そういう問題やないねんて。大食いとか俺無理やから。80パックって…
梶:とりあえず一回やってみようって。なんでもやってみな分からんやろ
西:いやいやいや,やらんでも分かるやん。やきそば80パック無理ってことくらい
梶:一回だけやから。な?とりやずやってみようって。5万やぞ
西:5万?いや…5万はほしいけど無理やって
梶:お前芸人やろ?お客さんも見たいですよねぇ
西:やめろや,お客さん味方につけんの。ずるいわぁ…「芸人」って。やきそば80パックってお前……それやったら……石の方でお願いします
梶:石いくん!? ほんまに石いくん!? お前芸人やなぁ
西:石のサイズは?サイズにもよるから
梶:サイズ?まぁ……5万ならこれくらいやろ
西:でかっ!? アホかお前は。漬物石やん
梶:5万だと相場はこれくらいって決まってんねんて
西:相場ってなんやねん。あんのか相場が。金持ちの間では。ほんなら絶対無理や。やっぱ石は食われへん。だからちゃんと値段合わせろって
梶:合わせてるやん,300円のやきそば25,000円分って…
西:そうやなくて,安い方に合わせろって
梶:300円のやきそばの方に?
西:そうや
梶:無理やろそれは
西:無理やないって。やきそば300円に対し,25,000円のコース料理の300円分でええやん
梶:だから無理やて。25,000円のコース料理の中に300円の料理なんてないもん
西:25,000円のコース料理の300円分やから…,メインの料理あるやん。大きいお皿にお肉のってるやん。まわりにふわ〜っとソースかかってるやん。そのソースひと舐めが300円くらいやろ。「その300円と,やきそばどっち食べる?」って聞いたらフェアやん
梶:だから無理やて
西:何が無理やねん。簡単なことやろ
梶:ソースひと舐めってお前(笑)300円握りしめて高級レストラン行って「ソース舐めさせてください」なんて言えるか
西:なんで本物の高級レストレン行って「ソース舐めさせてください」って言わなあかんねん。どうやったらフェアに比べられるかって話してるだけや
梶:高級レストラン行って「ソース舐めさせてください」なんて言うんやったらお前,300円のやきそば食うてた方がええんちゃう?
西:食べてたんだよ俺は。やきそばを。学生さんが作った300円のやきそばを「美味しい,美味しい」って。人が楽しくやきそば食べてたら,お前が後ろから25,000円で引っぱたいてきたんだろうが。俺が楽しくやきそば食べてたら,25,000円と両脇に石を抱えてお前が近づいてきたんだよ。こいつ最低でしょ。「学生さんが作ったやきそばまずい」から始まって,「25,000円やるからやきそば80パック食べろ」だの,しまいには「5万やるからこんな漬物石食べろ」だの…
梶:いやいやいや,その「金持ちの遊び」はともかく,学生さんが遊び半分で作ったやきそば買うたことあってえらい目におうたからやって,嫌いになったんわ
西:何があったん。そんなにまずかったん?
梶:まずくはないけど,ありえないくらい硬かったんですよ
西:やきそばが?素人やしね,その学生さんも真剣味が足りなかったのかもしれないけど,麺焼きすぎて硬かったってことやろ?
梶:麺はちょうどええかんじで,味も美味かったんやけど…
西:ならええやん。何が硬いねん
梶:やきそばに石入っててん