藤澤俊輔 「漫才コラム」と「漫才.コント.落語台本集」

漫才作家だけで食べていくために「オチを売るシステム」を模索中。「古典漫才」の普及を目指しフリー台本公開中。時々コントと落語


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健康診断

小学5年生の男の子<ペンネーム>ジェームズ・ハドソン・スミスさんの漫才台本です。

 

ジェームズ:いや〜健康診断いってきたよ

先生:へぇ〜なに?人間ドック?

ジェ:わからない

先:え?健康診断いったんでしょ?

ジェ:だーかーらーわからないの

先:だーかーらーなんでわからないの?

ジェ:でもそもそも人間ドックってなに

先:え?バリウムのんで写真とる

ジェ:え〜?写真?とうさつ?

先:ちげーよなんでとうさつなの

ジェ:だって写真かってにとるのはとうさつだろ?

先:この写真は,健康じょうたいをかくにんするためなのだからとうさつじゃない

ジェ:なんだそうなのか

先:ってなんで人間ドックわからないの

ジェ:だって初めてなんだもん

先:そうなん…ってそもそも健康診断行ったんだよねぇ

ジェ:うん

先:でもなにかは…

ジェ:わからない

先:なんで!!

ジェ:なんでって…

先:受けたんでしょ

ジェ:え…

先:まさか受けてないとか?

ジェ:え?

先:え?ってなに

ジェ:まさか健康診断行くだけじゃだめなの?

先:え?健康診断行ったのに受けてないの?

ジェ:健康診断って受けるものあるの?

先:健康診断は行って受けるものなの

ジェ:へぇ〜そうなんだって…

先:ジェームズって

ジェ&先:小5だった!!

 

 

所見:衝撃的なオチでしたね(笑) 健康診断がよく分からないのは「小5だから!!」というオチなんだと思います…たぶん…。これむしろ,「健康診断行ったけど受けてない」をオチにして全体を構成するともっと良くなるような気がします。それと,前回の「スイカ」の方がより漫才らしかったですね。今回のネタは,漫才というより「普通の会話感が強い」という印象を受けました。いろいろな方の漫才を見て,普通の会話と漫才の違いをつかんでほしいなと思います。おすすめは,夢路いとし・喜味こいしさんの漫才です。小5のジェームズさんには古すぎてうけないかな…いとこいさんの漫才…

 

 

これはフリーの漫才台本です。ご自由にお使いください。
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スイカ

小学5年生の男の子<ペンネーム>ジェームズ・ハドソン・スミスさんの漫才台本です。

 

ジェームス:いいよね~スイカって

先生:あぁスイカかぁ。ちょっと持ってないなぁ

ジェ:え!! スイカは夏の定番でしょ!!

先:う~ん…スイカって夏じゃなくてもつかうような…(小声)

ジェ:先生はスイカきらいなの?

先:いや,きらいじゃないよ

ジェ:そうなの?

先:うん…

ジェ:まぁいいや。まぁスイカわりもいいよねぇ

先:えっスイカをわるの?もたったいないがストレスはっさんにはいいのか?

ジェ:でさぁ,保育園のときスイカわりをしてたのしかったなぁ

先:いまはスイカをわるのがブームなのか?

ジェ:ん?スイカ(↗→→)じゃなくてスイカ(→↗↗)だよ!!

先:え~?

ジェ:まぁいいや

先:いいんだ

ジェ:スイカってあまくてシャキッとしてるところがいいよね

先:え?もしかしてジェームズがいってるのって…

ジェ:スイカだよ!! くだものの

先:スイカってカードかと思った

ジェ:くだものだよ~

 

 

所見:初めて書いた漫才ということですが,初めてなのにかなりよくできていて驚きました。特に漫才の書き方を勉強しているわけではなく,イメージで書いたそうです。これでオチがあれば子どもの漫才として十分成立すると思いました。初めてで,しかも子どもで,ここまで書ける人はなかなかいないのではないかと思います。オチを考えてまた投稿してくれるそうなので,楽しみに待っています。それにしても,ペンネームの「ジェームズ・ハドソン・スミス」という名前が謎すぎます。小学5年生の男の子,日本人です。

 

 

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ステーキ食べたい

まさお:誰かのうちに食事に呼んでもらうことってあんだろ?

龍一:あ~たまにあるな

まさお:その時にさ,どうすればステーキを出してもらえるのかってのをずっと考えてるんだけどよぉ,どうにも答えがみつからねぇ

龍一:お前はほんとにどうでもいいことばっか考えてやがんな

まさお:だってよぉ,金持ちの幸せそうな奴らはみんなステーキ食ってんだろ?

龍一:みんなってことはねぇだろ。ステーキ食ってるからって幸せなわけじゃねぇんだ

まさお:ステーキ食ってる奴は幸せだろ。「ステーキは幸せの塊だ」って誰かが言ってたぞ

龍一:なんだそれ。ことわざか?

まさお:それによぉ, 生まれてこの方たったの一度も人んち行ってステーキ出してもらったことねぇんだよ。俺みんなに嫌われてんじゃねぇのかと思ってよぉ

龍一:そりゃあ当然だろ

まさお:なんだよ当然って。俺そんなに嫌われてんのか?

龍一:そうじゃねぇ。当然ってのは,自分ちに食事に呼んでな,そこでステーキ出す家なんてそうそうないって言ってんだ。まぁ~ステーキ出す家といえば,この界隈ではうちくらいなもんだろ

まさお:え?龍さんちステーキ出してくれんのか?

龍一:うちのホームパーティーのメニューはステーキって決まってんだ

まさお:ってことは?今週末龍さんちで開かれる ホームパーティーのメニューは?

龍一:ステーキだ

まさお:そりゃあすげぇな。今からもうテンション上がってきた!

龍一:そんなにステーキ食いてぇのか?

まさお:食いたいねぇ〜。自分ちじゃなくて人んちでステーキ食いたい

龍一:どういう感覚なんだそれは

まさお:それなのに誰も出してくれねぇ

龍一:普通は人呼んだ時にステーキなんて出さねぇんだ。どうしても人んちでステーキを食いてぇんなら,「今度うちに来た時何食べたい?」とかなんとか聞かれることあんだろ?そんときにはっきりと「ステーキ食べたい」って言うしかないだろうな

まさお:言えるかよ,「ステーキ食べたい」なんて

龍一:でもどうしても食いてぇんだろ?人んちで

まさお:どうしても食いてぇ。人んちで

龍一:だったらはっきり言うしかないだろ。そうじゃねぇと俺んち以外では誰もステーキなんて出してくれねぇよ

まさお:そうだけどよぉ,「ステーキ食べたい」なんて言えねぇだろ

龍一:お前なぁ,言えねぇけどステーキは出してほしいなんてそんな虫のいい話があるか。お前がどうしても「言えねぇ」っていうんだったら,今度のホームパーティーの時もお前だけはステーキお預けだ

まさお:なんでだよ。そりゃあねぇだろ龍さん。俺の幸せを奪う気かよ

龍一:お前はなんでそうやってすぐに「ステーキ」と「幸せ」を結びつけたがんだ。まぁいい。じゃあ「ステーキ食べたい」って言ってみろ。ちゃんと言えたらステーキやるから

まさお:だから…言えねぇんだって…

龍一:「言えねぇ」ってことはねぇだろ。今度のホームパーティー,何食べたい?

まさお:ス…ス…ステ…ステ…

龍一:……。「言えねぇ」ってそんなに言えねぇのか。「ステーキ」さえも言えなくなってんだろ

まさお:だから「言えねぇ」って言ったろ

龍一:「言えねぇ」ってのは,恥ずかしくて言えねぇとか,遠慮して言えねぇとか,そういうことじゃねぇのかよ

まさお:恥ずかしさも遠慮もあるけどよぉ,それよりとにかく緊張しすぎて「ステーキ」って単語さえうまく発音できなくなんだ

龍一:今お前「ステーキ」って言えたろ

まさお:今は言えるよ

龍一:どういうことだよ。「ステーキ食べたい」って言ってみろ

まさお:ステーキ食べたい

龍一:言えんじゃねぇか

まさお:言えるよ

龍一:だったら言えよ

まさお:正式に聞かれると,緊張して言えねぇんだ

龍一:なんだよ,正式に聞かれるとって

まさお:だから,「何を食べたいか」って正式に聞かれると言えねぇんだよ

龍一:なんなんだそれ。そんなのあんのか。あ~あれか?あがり症ってやつか?

まさお:なんだそれ?

龍一:緊張しすぎて普通じゃいられなくなる病気みたいなもんだ

まさお:「ステーキ食べたい」って言えなくなる病気ってことか?

龍一:お前今は「ステーキ食べたい」って言えてんだよ

まさお:だから普段は言えんだよ。「ステーキ食べたい」って

龍一:お前今度のホームパーティーで何食べたい?

まさお:ス…ス…ステ…ステ…

龍一:なんでそうなる?

まさお:だから緊張すんだって,「何食べたい?」って聞かれると

龍一:どうしても「ステーキ食べたい」って言えねぇのか

まさお:言えねぇよ,「ステーキ食べたい」なんて

龍一:今は言えてんだよ,「ステーキ食べたい」って

まさお:正式に聞かれると言えねぇんだって

龍一:お前今度のホームパーティーで何食べたい?

まさお:ス…ス…ステ…ステ…

龍一:どうなってんだこれ。仕組みがよく分からねぇ。なんなんだよ正式って

まさお:仕組みは俺もよく分かんねぇけど,とにかく言えねぇんだよ

龍一:お前なぁ,「ステーキ食べたい」って言えねぇんだったら,おかゆだぞ

まさお:おかゆ?なんだよおかゆって?

龍一:おかゆってのはな,米に多めに水入れてやわらかく煮た食べ物だ。風邪の時とかによく食うあれだ

まさお:おかゆは知ってんだよ。「『ステーキ食べたい』って言えなかったらおかゆだ」ってのはどういうことだって聞いてんだ

龍一:お前さんが何食べたいか聞かれた時に「ステーキ食べたい」って言えないんだったら,誰かの家に呼ばれた時に出てくるメニューは決まっておかゆのみだって言ってんだ

まさお:そんな馬鹿な話があるか。何食べたいか聞かれて「ステーキ食べたい」って言えなかったら普通は普通のメニューが出てくるだろ

龍一:普通はな

まさお:なんだよ「普通はな」って

龍一:普通なら普通のメニューが出てくるんだろうが,何食べたいか聞かれて「ステーキ食べたい」って言えないんだったら,俺がみんなに「まさおは実はおかゆが大好物だから,家に呼んだ時には必ずおかゆを出してやってくれ」って言いふらして回るから,誰かの家に呼ばれた時には決まっておかゆが出てくる

まさお:やめてくれよ龍さん。余計なことすんなよ

龍一:お前が「ステーキ食べたい」って言えないからだろ

まさお:「ステーキ食べたい」って言えないのがそんなに悪いことなのかよ

龍一:今は言えてんだよ,「ステーキ食べたい」って

まさお:だから正式に聞かれると…

龍一:克服させてやりてぇんだよ俺は

まさお:え?

龍一:お前さんのあがり症を治してやりてぇ

まさお:龍さ~ん

龍一:それとな,この際だから言うぞ

まさお:なんだよ,改まって

龍一:前々から言おう言おうと思いながらなかなか言えなかったんだが,お前は日頃からおかゆのことを馬鹿にしている節がある

まさお:おかゆを?俺が?何言ってんだよ,俺はおかゆを馬鹿にしたことなんて一度もねぇよ。風邪ひいた時にはお世話になってるしよぉ

龍一:だったら聞くが,誰かの家に呼ばれて,メニューが本当におかゆのみだったらどうする?

まさお:どうするって…,いただきますよ

龍一:喜んでか?

まさお:喜んで?まぁ…喜んでっていうか…普通に?

龍一:テンションは?

まさお:テンション?

龍一:おかゆを食う時のテンションだ

まさお:おかゆを食う時のテンション?まぁ…テンションはちょっと低めかもしれねぇけど…

龍一:ほらみろ。やっぱりお前はおかゆを馬鹿にしてる

まさお:馬鹿にはしてねぇって。だってメニューがおかゆのみだぞ。誰だってテンション下がるだろ

龍一:下がるもんか。むしろ上がるだろ

まさお:龍さんテンション上がんのか?おかゆのみでだぞ?すげぇな

龍一:俺はおかゆを心から愛してんだ

まさお:おかゆを愛するとかあんのかよ

龍一:お前さんは知らねぇと思うが,おかゆってのはなぁ,人の心の内を見透かすそれはそれはありがたい食べ物なんだよ

 

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