藤澤俊輔 「漫才コラム」と「漫才.コント.落語台本集」

漫才作家だけで食べていくために「オチを売るシステム」を模索中。「古典漫才」の普及を目指しフリー台本公開中。時々コントと落語


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銀シャリは売れても絶対に漫才をやめないでください!

M-1優勝後,他の仕事が忙しくなりすぎたりしてあまり漫才をしなくなるコンビがいる一方で,M-1優勝時よりもその後の方が圧倒的に漫才がおもしろくなるコンビもいます。

例えば,ますだおかだM-1優勝後に,岡田さんがガンガンボケたりすべったりするネタをやるようになりました。フットボールアワーは,それまでメインにしていた漫才コントではなく,二人の個性が活きるしゃべくり漫才のスタイルを確立してゆきました。どちらのコンビも,「今の漫才の方がM-1優勝時よりも圧倒的におもしろい」とわたしは思っています。

 

昨年のM-1で優勝した銀シャリですが,以前は,鰻さんのボケではなく,うまいこと言ったり例えたりする橋本さんのツッコミで主に笑いを取るというスタイルだったと思います。しかし最近では,鰻さんのボケそのものでも笑いを取る,橋本さんの過剰なツッコミに鰻さんがつっこむことで笑いを取る,という形に進化し,その結果M-1を獲ることができたのだと思います。

銀シャリは橋本さんが注目されがちですが,銀シャリの漫才のあの良い雰囲気を作っているのはむしろ鰻さんの方だとわたしは思っています。あの笑顔ととぼけたキャラクター,それでいて漫才のしゃべりはしっかりしている。漫才の軸は鰻さんである方が,銀シャリの漫才はいいと思います。そうすれば,橋本さんがつっこみ倒してもまとまるので…

鰻さんが漫才のしゃべりの中心となりボケて,橋本さんが好き放題につっこみもはやボケのようになり,それをさらに鰻さんがつっこむというこの形,まだまだ伸びしろがあるように感じます。例えば,鰻さんのつっこみのバリエーションを増やすとか…。それと,ビシッと決まるオチがあれば最高です。

 

銀シャリは売れても漫才メインでやってほしいです。どうかよろしくお願いいたします。

 

サプライズ

当て書き:サンドウィッチマン富澤たけし / 伊達みきお

 

富澤:実は事務所のみんなで話し合って,「伊達ちゃんへの感謝の言葉を書いた色紙とプレゼントを渡そう」ってことになったんですよ

伊達:それ俺に言っちゃっていいの?

富:「サプライズ」って言ってたから,大丈夫じゃない?

伊:だったら駄目だろ。サプライズって分かってんの?渡されても俺もう驚けないよ

富:でもそこは「サプライズ」だから,驚いた方がいいって

伊:無理だろ。お前がすべてをぶち壊してんだよ

富:それに「感謝の言葉を書け」って言われても全然思いつかないんだよね

伊:だからそういうことも俺に言うなよ

富:こういうのって何書けばいいの?

伊:お前バカなの?俺が言ったことをお前が書いてそれを俺がもらって読んでもうれしくないだろ

富:でもお前だって「伊達ちゃんへの感謝の言葉を書け」って言われても困るだろ

伊:あたりまえだろ。俺本人だから。俺伊達ちゃんだから。伊達ちゃんに「伊達ちゃんへの感謝の言葉書け」って頼むこと自体がおかしいからね

富:俺だって同じだよ

伊:同じじゃないわ。お前伊達ちゃんじゃないだろ

富:じゃあお前は「伊達ちゃんへの感謝の言葉を書け」って圧力かけられてないの?

伊:あたりまえだろ。俺は伊達ちゃん本人だって言ってんの。っていうか「圧力」かけられてんの?

富:圧力がすごすぎて胃が痛いんだよね,ストレスで

伊:なんでそんなに嫌なんだよ,俺への感謝の言葉を書くのが。っていうか誰に圧力かけられてんだよ

富:ちょっと何言ってるか分からない

伊:なんでだよ。言えないくらい怖いやつに圧力かけられてんの?

富:そこはサプライズだから

伊:誰に圧力かけられてるかはサプライズなの?なんか怖くない?

富:で,プレゼントは何がいい?

伊:「プレゼントは何がいい」って急に言われても…,まぁ…手作り感あふれたものとかいいよね。世界に一つしかないものとかね…

富:そんなのでいいの?

伊:「そんなの」って…気持ちが込もってていいんじゃないですか

富:それならもうありますよ

伊:なんですか?

富:ネタ

伊:ネタ?漫才の?

富:ネタ帳に書いてあるネタをプレゼントしますよ。手作りのネタ

伊:そりゃ手作りだろうけど…

富:世界に一つしかないですよ

伊:世界で二つ目だったらパクったネタだからね

富:「世界に一つだけのネタ」

伊:スマップみたいなかんじで言うなよ

富:何?不満なの?

伊:不満とかじゃないけど,俺がイメージしてるプレゼントとなんか違ったからさ

富:お金でしょ

伊:なんだよ急に

富:お前がイメージしてるプレゼントだよ。お金がほしいんでしょ?

伊:「お金がほしい」なんて言ってないだろ

富:じゃあお金はほしくないのね

伊:「ほしくない」とも言ってないだろ。「お金がほしい」なんて人前で言うもんじゃないからね。それに俺ほんとに手作り感あふれたものとか好きなのよ

富:じゃあ俺が手作りの何かを作るわ

伊:お前が作るの?相方の手作りっていうのもちょっと気持ち悪いだろ

富:でもお金だよ

伊:偽札だろ,「手作りのお金」って

富:作るのうまいから

伊:うまく作っちゃ駄目なやつだからね,お金は

富:うまくできたやつより手作り感あふれてるほうがいいってこと?

伊:「手作り感あふれたお金」って…バレバレの偽札だろ

富:「世界に一つだけのお金」の方がいいの?

伊:そのお金絶対使えないだろ

 

※続きはこちらのnoteを購入するとご覧になれます。

 

 

これはフリーの漫才台本です。ご自由にお使いください。
ご使用の際は,この記事のコメント欄にご一報ください。

 

 

「全国総漫才師化計画」というと大げさですが…

M-1の予選が始まっています。

M-1には,アマチュア漫才師を応援するための「ナイスアマチュア賞」と「ベストアマチュア賞」があって,アマチュアのみなさんの参加を歓迎するムードを作ろうという姿勢が素晴らしいと思います。

M-1の予選に参加した方は,アマチュアであったとしても,1回戦を通過できなかったとしても,みんな「漫才師」だと思います。「漫才をしたい」という気持ちと,実際にやってみるというその行動力があれば,誰でもなれるのが「漫才師」だと思っています。

又吉直樹さんの小説「火花」の中に,「本当の漫才師は,極端な話,野菜を売ってても漫才師」というような表現が出てきますが,この感覚と似ていると思います。

わたしは以前から,「日本人なら誰しも一度は漫才をしたことがある」みたいな状況になればいいのにと思っていました。M-1が「アマチュア大歓迎!」という姿勢を示してくれていることは,漫才がそういう方向に動いていく大きな一歩のように感じています。

 

「全国総漫才師化計画」と大げさな表現を使いましたが,漫才を演じるのが得意な方もいれば,漫才を書くのが得意な方もいると思います。

「演じるのは得意だけど書くのは苦手」という方は,このブログでフリー台本を公開していますので,良かったらそれを使って気軽に漫才をしていただきたいと思っています。

「演じるのは苦手だけど書くのは得意」という方は,どんどん台本を書いてほしいです。台本の投稿もお待ちしていますので,良かったら気軽に送ってください。

 

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