結婚式用漫才台本02
伊達：ご結婚おめでとうございます！
富澤：おめでとうございます！……ってみなさん口裏を合わせて言ってますけどね…
伊：口裏を合わせて言ってるわけじゃねぇよ。みんな心からそう思って言ってるんだからね
富：みなさん本当におめでたいと思ってます？
伊：思ってますよ。めでたい席でなんてこと言うんだよ
富：お前なんて特にめでたいとかめでたくないとか分からないタイプだろ
伊：どういうことだよ，｢めでたいとかめでたくないとか分からないタイプ｣って
富：みんなが｢おめでとうございます！｣って言ってるから，ほんとはめでたいのかどうかなんてよく分からないけどとりあず｢おめでとうございます！｣って言っておけば間違いないだろ的なかんじで｢おめでとうございます！｣って言うタイプだろ
伊：そんなタイプじゃねぇよ。ちゃんと分かって言ってますよ
富：じゃあ今日の結婚式のどこがどういう風にめでたいのか言ってみてくださいよ
伊：そういうのは説明するもんじゃないからね。どこがどうとかじゃなくてさ，別々の人生を歩んできた二人がこれから同じ道を歩んでいくんだよ。どんな困難が生じても助け合い愛し合って生きていくって誓ったの。こんなめでたい日ないだろ
富：だってマラソンのスタートラインでヨーイドンっていう合図を待っているランナーに｢おめでとうございます！｣って言わないだろ
伊：それは言わないけど…，それとこれとは別だろ
富：スタートラインですよねぇ，結婚式というのは
伊：そうだけどね，このスタートラインに立つまでだっていろいろあったの。それを乗り越えて，晴れて結婚することになったんだからめでたいんだよ
富：マラソンランナーだってスタートラインに立つまでいろんな事があったんだよ。雨の日も風の日も毎日毎日厳しい練習を積み重ねてきたんだよ。なのにスタートラインに立つランナーにはめでたい要素が一切ない…
伊：なんの話してんだよ
富：結婚式のスタートラインはこんなに華々しいのに，マラソンのスタートラインはなんであんな張り詰めた空気なんだよって言ってんの
伊：それは真剣勝負のレースの始まりなんだから当然だろ
富：結婚式だっていわば真剣勝負のレースの始まりですよねぇ
伊：そうかもしれないけど，とにかくみんなめでたいと思ってんだからめでたいんだよ
富：ほら。結局お前はよく分かんないけどみんなが｢おめでとうございます！｣って言ってるから｢おめでとうございます！｣って言ってるってことだろ？
伊：ほんとすみませんね，こんなおめでたい日にこいつが一人で訳のわかんないこと言ってね
富：とにかく俺は，結婚というマラソンをあの二人が完走した時に｢おめでとう！｣って言いたいんですよ
伊：いつだよ完走した時って
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