藤澤俊輔 「漫才コラム」と「漫才.コント.落語台本集」

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華のない花屋

 

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当て書き:三四郎相田周二 / 小宮浩信

 

小宮:デートに行く時にさり気なく花束を持っていけるような男になりたいと思ってるんですよ

相田:さらっとそういうことできる男はかっこいいですけどね,あなたみたいに華のない人間がさり気なく花束を持って行ったら気づかれないでしょ

小:気づかれないってなんだよ。気づくだろさり気なく持って行っても。花束派手なんだから

相:花束には気づくよ。でも花束が華やかすぎて,その隣にいる華がなさすぎるにもかかわらずさり気なく立っている小宮の存在に気づかないって言ってんの

小:いやいやいや…,仮に俺が華がなさすぎる人間だったとしてもだよ,花束を持っているのは俺だからね。「あれ?この綺麗な花束持ってるのは誰かな?あっ!小宮さん!」ってことになるだろ

相:そんなにうまいこと気づいてもらえるかねぇ…

小:バカな!花束にしか気づかない人間なんてこの世にいないだろ

相:そもそもお前ほどの華のない人間だと,花屋に行っても花売ってもらえない可能性があるよね

小:なんでだよ。売ってもらえるだろ,金出せば

相:この人こうやってすぐになんでも金で解決しようとするんですよ

小:金で解決って…買い物だろそれが。それが俗に言う買い物だから

相:じゃあちょっと買いに来て

小:え?俺が花屋に買いに行いけばいいの?

相:いつもみたいに「滑舌悪いからほしいものちゃんと買えるかなぁ…」って不安になりながら買いに来て

小:そこまで不安じゃねぇよ。居酒屋でライス頼んだらアイスきたけど。アイス頼んだらライスくるし。まぁいいや。やればいいんだろ。この絶望的な滑舌でもちゃんとほしい花買えるかなぁ〜すみませ〜ん

いらっしゃいま…あれ?どうされました?ここ花屋ですよ

小:なんだよいきなり。分かってますよ。花を買いに来たんですよ

あ〜お葬式のね

小:ふざけ〜デートですよ

デート!? お客さんがデート!? デートだけはやめた方がいいですよ,お客さんは

小:なんでだよ。なんで俺のデートを否定するんだよ

だってお客さん…華がないじゃないですか…

小:華がないからこそ,花を買いに来たんじゃないですか

それだと花が浮かばれないじゃないですか

小:「花が浮かればれない」ってバカしすぎだろ。華がないからこそデートに花束を持って行くんですよ。そうすれば少しは華のある人間になれますからねぇ!

相:華のある人間になりたいってことですか?

小:挑発的なんだよ,言い方が。なりたいよ…華のある人間に

相:でもお客さん,鼻あるじゃないですか?顔の真ん中に

小:鼻はあるよ。鼻じゃなくて華がないの

相:あ~こっちの花ね

小:それは咲いたり枯れたりする花!「華がない」っていうときの「華」はその「花」じゃないから

相:でも鼻あるじゃないですか?顔の真ん中に

小:それは息を吸ったり吐いたりする鼻!「華がない」って言ってんの。なんで俺自分で自分のことこんなに「華がない」って言わなきゃなんないんだよ。だいたい「華がない」って言い出したの店員さんの方ですからね。それに,さっきから人のこと「華がない華がない」って言ってますけどねぇ,店員さんだって言うほど華ないですからね

相:知っていますよ

小:え?自分で気づいてるんですか?

相:当然ですよ。わざとですから

小:わざとって?

相:花屋に華があったら花が映えないから花が売れないじゃないですか。だから私はわざと華がないかんじで花屋をやってるんですよ

小:わざと華がないかんじでやってるんですか!?

相:本来の私はものすごい華のある人間なんですよ

小:そんな出し入れできます?華って。自由自在に

相:花屋ならみんなできますよ

小:そんな話聞いことねぇ。いや…でもイケメンで華がある店員の方がもっと花売れるんじゃないですか?

相:そんなことないですって。お客さんだから言いますけど…,正直,僕なんかよりもお客さんの方がよっぽど花屋に向いてますよ

小:それ悪口ですか?

相:悪口じゃないです。ただ…お客さんが花屋だったら一段と花が映えるだろうなぁって思って…

小:だからそれ悪口だろ。花屋業界特有の

相:私花粉症なんで花屋辞めたいんですよ。代わりにどうですか?

 

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