空気清浄機
関:俺実はさぁ,バイトやめて就職したんだよね
山本:お前……一人前の漫才師になって「笑いで世界中の人々を幸せにする」っていう夢あきらめたのかよ
関:就職と漫才は関係ないだろ
山:あるよ。普通の会社に就職したらあんまり漫才できないからバイトでしのいできたんだろうが
関:普通の会社じゃないから大丈夫なんだよ
山:どんな会社だよ
関:空気清浄機の会社
山:普通の会社だろ
関:会社は普通だけど,勤務時間は自由なんだよ
山:じゃあ今まで通り漫才やれるんだな
関:当たり前だろ
山:それならいいけど…,なんで空気清浄機の会社に就職したんだよ
関:俺は今まで「笑いで世界中の人々を幸せにできる」って思ってたけど,最近の環境問題のニュースを見てさ,「世界中の人を笑わせるだけじゃ駄目だ,世界中の空気もきれいにしなくちゃ駄目なんだ」って思うようになったんだよ
山:どうしたんだよ急に?
関:俺もそういう年になったってことだよ。もうバカなことばっかりやってられないっていうかさ
山:お前やっぱり漫才やめようとしてるだろ
関:なんでだよ
山:今「バカなことばっかりやってられない」って言ったろ
関:お前……漫才をバカなことだと思ってんのか?全然バカなことじゃないだろ漫才は。俺はプライドを持って真剣に漫才やってんだよ。漫才で世界中の人を笑わせながら,世界中の空気もきれいにする,それが今の俺の夢なんだよ!
山:お前……かっこいいな
関:いや…それほどでもないよ。たださぁ,新しい仕事結構きついんだよね
山:空気清浄機の仕事が?
関:そうなんだよ。鼻から汚い空気を吸って,口からきれいな空気を出すっていう仕事なんだけどさぁ…
山:自分でやんの?
関:当たり前だろ,仕事だぞ
山:そういうことじゃなくて,空気清浄機の販売とか開発じゃなくて,自分で鼻から吸い込んで空気をきれいにする仕事なのかよ
関:そうだよ
山:そんなんじゃきれいになんないだろ
関:それは志次第だろ
山:そういう問題じゃないだろ
関:気持ち重要だからな。しかも俺の志はかなり高いから。世界中のほこりというほこりを鼻から吸い込んで,全世界の空気をきれいにしようと思ってるからね
山:すごいなお前
関:だたさぁ,この仕事を1人でやるのはちょっと厳しいかなっていうのもあるんだよね
山:ちょっとどころの厳しさじゃないだろ。世界中の空気をきれいにするんだろ?
関:だから……一緒にやろう!
山:俺が?
関:お前だって世界中の空気きれいにしたいだろ
山:したいけど無理だろ,鼻からほこりを吸って口からきれいな空気を出すなんて
関:そんなことないって。お前が気づいてないだけで,鼻には天然の超高機能フィルターがついてんだぞ
山:それ鼻毛だろ
関:お前……なんで知ってんだよ,鼻毛が超高機能フィルターだってこと
山:なんでって…
関:さてはお前……行ったな,講習会
山:講習会?
関:「鼻毛は地球を救う」っていう講習会だよ
山:……行ったよ
関:なんで黙ってたんだよ
山:「鼻毛は地球を救う」っていう講習会に行ったなんて恥ずかしくて言えないだろ
関:恥ずかしくないだろ。地球を救えるんだぞ
山:しかも俺,最後の呼吸法の講習?時間なくて受けてないんだよね。なんか鼻からこうやって吸うんだろ,ほこりを(吸おうとする)
関:あ〜危ねぇ〜よ
山:何が?
関:お前最後まで講習受けてないんだろ
山:受けてないけど…
関:自己流でやると怪我するぞ
山:怪我?
関:俺もこの仕事はじめたとき自己流でやって大怪我したんだから
山:大怪我ってなんだよ?
関:デブになったんだよ
山:それ怪我によるものなの?
関:とにかく,俺の二の舞になってお前まで太っちゃうと漫才師としてかなりバランス悪いから,やり方ちゃんと聞けよ
山:デブとデブのコンビをやんわり否定してるだろ,デブのお前が
関:まず,鼻から吸って口からはく,これが基本だから。絶対に口から吸うなよ
山:口から吸ったらどうなんの?
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